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この記事の検証方法:メーカー公式仕様の照合/販売ページの横断調査/W数×時間×目安単価による計算(実機は使用していません)。参照日:2026年10月13日
楽天で「電気代の安いヒーター」と検索すると、1,800件を超える商品が出てきます。商品名には「省エネ」「節電」「電気代安い」が並び、どれも安そうに見えます。
でも、電気ヒーターの電気代はメーカーでも種類でもなく、W数と使った時間だけで決まります。パナソニックでもニトリでも、セラミックでもオイルでも、1200Wで1時間動かせば電気代は同じ37.2円です。
店長として売場の電気設備を見てきた立場から言うと、電熱器具の電気代を読む方法は「W数×時間」の1本しかありません。この記事では、その計算を4機種の公式仕様に当てはめて、「電気代が安いヒーター」の正体を数字で確かめます。
▼この記事の結論
電気ヒーターの電気代は「W数÷1000×時間×31円」。1200Wなら1時間37.2円、1日8時間を30日続けると8,928円です。「電気代が安いヒーター」は、暖める力が小さいヒーターのことで、同じ暖かさをもらうなら電気代はどれも同じになります。安くする方法は「暖める範囲を体の周りまで狭くする」か「部屋全体はエアコンに任せる」の2つだけです。
| 用途 | 選ぶ機種 | 最大W数 | 1時間(最大) |
|---|---|---|---|
| 脱衣所・トイレを数分で暖める | パナソニック DS-FN1200 | 1170W | 36.3円 |
| デスク・ソファで体だけ暖める | アラジン AEH-G1000B | 1000W | 31.0円 |
| 寝室を風なしで暖める | デロンギ RHJ21F0812 | 1200W | 37.2円 |
| 足元だけを一番安く | 山善 DP-SB1610 | 160W | 5.0円 |
「電気代が安いヒーター」を選んでも電気代が下がらない理由
電気ヒーターは、電気を熱に変えるだけの機械です。セラミックファンヒーターも、カーボンやグラファイトの遠赤外線ヒーターも、オイルヒーターも、パネルヒーターも、中でやっているのは電熱線やセラミック素子に電気を流して熱くすることだけ。
だから1kWhの電気を使えば、どの機種でも1kWh分の熱が出ます。ここに「高効率な電気ヒーター」が入り込む余地はありません。160Wのパネルヒーターが1200Wのファンヒーターより電気代が安いのは、出している熱が7分の1少ないからです。
販売ページの「省エネ」表記がどこから来ているのかを分解すると、ほぼ次の3つに分かれます。
- W数が小さい:400W・600Wの小型機。電気代は安いぶん、暖まる範囲も狭い
- 人感センサー・室温センサーで止まる:止まっている時間の電気代がかからないだけで、動いている間の1時間あたりは変わらない
- 最小W数を並べている:「8W/900W/1500W」のような表記の8Wは送風だけの運転。暖房としての電気代は900W・1500Wのほう
センサーの効き目は、パナソニックがメーカー試験の数字を出しています。加湿セラミックファンヒーターDS-FKS1206を「強」で1時間運転し、45分在室・15分不在にした条件で、ひとセンサーなしは1200Wh、ありは961Wh(いずれも50Hz)。下がった約2割は「人がいない15分に止まった分」です。在室中にずっと座っている使い方なら、センサーで電気代はほぼ下がりません。
電気ヒーターの電気代の計算方法(1時間・1日・1ヶ月)
計算式は1本です。
電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1000 × 使った時間(h)× 31円
31円は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示している電力料金の目安単価(1kWhあたり・税込)です。家電メーカーのカタログもこの単価で電気代を書いています。実際の単価は契約している電力会社と使用量で上下するので、自宅の検針票に書かれた単価がわかる人は31円をそれに置き換えてください。
手順は3つ。
- 本体の仕様表で「消費電力」を探す。「強/弱」がある機種は、実際に使う段階のW数を使う
- W数を1000で割ってkWにする(1200W→1.2kW)
- 使う時間と31円を掛ける(1.2kW×8時間×31円=297.6円)
サーモスタットで入り切りを繰り返すオイルヒーターやパネルヒーターは、表示W数で計算した値が「上限」になります。部屋が暖まって電源が切れている時間は電気を使わないので、実際の請求はこれより下に収まります。
電気ヒーターの電気代早見表(W数別・31円/kWh)
| 消費電力 | 1時間 | 1日8時間 | 1日24時間 | 1ヶ月(8時間×30日) |
|---|---|---|---|---|
| 160W | 5.0円 | 39.7円 | 119.0円 | 1,190円 |
| 250W | 7.8円 | 62.0円 | 186.0円 | 1,860円 |
| 500W | 15.5円 | 124.0円 | 372.0円 | 3,720円 |
| 640W | 19.8円 | 158.7円 | 476.2円 | 4,762円 |
| 700W | 21.7円 | 173.6円 | 520.8円 | 5,208円 |
| 1000W | 31.0円 | 248.0円 | 744.0円 | 7,440円 |
| 1170W | 36.3円 | 290.2円 | 870.5円 | 8,705円 |
| 1200W | 37.2円 | 297.6円 | 892.8円 | 8,928円 |
1200Wを「強」のまま24時間つけっぱなしにすると、1日で約893円。30日続ければ2万6,784円です。電気ヒーターを部屋全体の主暖房にすると冬の請求が跳ね上がるのは、この掛け算のせいです。
電気ヒーターとエアコン、電気代はどっちが安い?
部屋全体を暖めるなら、エアコンのほうが安くなります。理由はヒートポンプです。
電気ヒーターは1kWhの電気から1kWhの熱しか作れません。エアコンは電気でコンプレッサーを回し、屋外の空気から熱を集めて室内へ運びます。運んだ熱が使った電気より多いので、1kWhの電気で数kWh分の熱が出せる。この倍率がCOP(暖房能力÷消費電力)です。
例として、パナソニックの10畳用エアコンCS-F283Cは暖房能力3.5kWに対して消費電力870W、COPは約4.0です(メーカー公表値をもとにした算出)。同じ3.5kWの熱を電気ヒーターで出そうとすると、1時間108.5円。エアコンは定格運転で1時間約27円。差はおよそ4倍です。
ただし外気温が下がるとエアコンのCOPは落ちますし、暖まるまでに時間がかかります。電気ヒーターが勝つのは次の場面です。
- 脱衣所・トイレなど、エアコンがない狭い場所を数分だけ暖めるとき
- デスクの足元やソファの正面など、部屋ではなく体の一部だけを暖めるとき
- エアコンで部屋を18℃前後まで上げ、足りない分を体の近くで足すとき
電気ヒーターを安く使うコツは、機種選びより「何を暖めるか」を狭くすることです。部屋の空気を暖めるのはエアコン、体を暖めるのはヒーター。この分担ができると、ヒーターに必要なW数が一気に下がります。

電気ヒーターの種類で変わるのは電気代ではなく「熱の届け先」
効率が同じなら、種類の違いは何なのか。答えは「熱をどこに届けるか」です。
| 種類 | 熱の届け方 | 得意な場面 | 苦手な場面 |
|---|---|---|---|
| セラミックファンヒーター | 温風で空気を暖める | 脱衣所・トイレの短時間 | 天井付近に熱がたまり、広い部屋では足元が冷える |
| グラファイト・カーボン(遠赤外線) | 正面にいる体を直接暖める | デスク・ソファで座ったまま | 正面から外れると暖かくない |
| オイルヒーター | 放熱板からの輻射と自然対流 | 寝室・子ども部屋を風なしで | 暖まるまで時間がかかる |
| パネルヒーター(小型) | 近距離の輻射 | 足元・机の下 | 部屋を暖める力はない |
同じ電気代を払っても、体に熱が届く割合は種類と使い方で大きく変わります。6畳の空気を暖めるのに1200Wを使うより、座っている自分の正面に500Wを当てるほうが、少ない電気で「暖かい」と感じられる。電気ヒーターで節約できるのはここだけです。
電気ヒーター4機種の電気代を公式仕様で計算した比較表
| 機種(型番) | 種類 | 消費電力(公称) | 1時間(算出) | 月額 8h×30日(算出) | 重さ(公称) | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| パナソニック DS-FN1200 | セラミックファン | 強1170/1120W・弱640/615W(50/60Hz) | 強36.3円・弱19.8円 | 強8,705円・弱4,762円 | 2.5kg | 5千円台〜1万円前後 |
| アラジン AEH-G1000B | 遠赤グラファイト | 1000/750/500/250W | 31.0円〜7.8円 | 7,440円〜1,860円 | 約3.0kg | 1万4千円前後 |
| デロンギ RHJ21F0812 | オイル | 1200/700/500W | 37.2円〜15.5円(上限) | 8,928円〜3,720円(上限) | 13kg | 1万円台前半 |
| 山善 DP-SB1610 | パネル | 160W | 5.0円(上限) | 1,190円(上限) | 約1.7kg | 6千円台 |
1時間あたりで並べると、山善のパネルヒーターがパナソニックの7分の1以下。でもこれは「山善が省エネ」なのではなく、160Wぶんの熱しか出していないからです。脱衣所を数分で暖めたい人が山善を買っても、電気代は安いまま寒い思いをするだけ。用途を外すと、安い電気代はそのまま失敗になります。
パナソニック DS-FN1200:脱衣所・トイレを短時間で暖める
パナソニック公式の仕様表では、温風「強」が1170W(50Hz)/1120W(60Hz)、「弱」が640W/615W。公式が自ら1時間の電気代を「強 約36.3円・弱 約19.8円(50Hz時・31円/kWh)」と書いています。今回の計算と一致します。
注意したいのは、パナソニック公式の仕様表に暖房の目安畳数が書かれていないこと。販売サイトには「木造5畳・コンクリート8畳」と載っているものがありますが、公式ページで確認できる数字ではありません。6畳の部屋の主暖房にする機種ではなく、狭い場所で数分〜数十分使う機種として選ぶのが正解です。
本体を起こさない限り通電しない「二重安全転倒OFFスイッチ」付き。洗面所やキッチンの床に置く使い方と相性がいい作りです。
アラジン AEH-G1000B:座ったまま体だけを暖める
消費電力は1000W/750W/500W/250Wの4段階。遠赤外線で正面の体を暖めるタイプなので、デスクで座りっぱなしの人なら500Wや250Wで足りる場面が出てきます。250Wなら1時間7.8円。1200Wのファンヒーターの約5分の1です。
型番には注意が必要です。通販では「AEH-G1000B」のほかに「AEH-G1000BE6G」「AEH-G1000BE6W」という型番が出てきます。これは家電量販店のオリジナル型番(e angle select)で、販売ページには「一般の市販モデル(AEH-G1000B)をベースに仕様変更・追加した」と書かれています。どこが変わっているかは販売店ごとの表記を確認してから選んでください。旧モデルのAEH-G1000Aも在庫品で混ざっています。
デロンギ RHJ21F0812:寝室を風なしで暖める
消費電力は1200W/700W/500Wの3段階で、サーモスタットが設定温度で入り切りします。最大で動き続ければ1時間37.2円ですが、部屋が暖まると電源が切れる時間ができるので、実際の電気代はこの数字より下がります。どこまで下がるかは部屋の断熱と外気温しだいで、メーカーも数字を出していません。
畳数表記にも揺れがあります。販売店の仕様表では「8畳(日本電機工業会自主基準)〜10畳(デロンギ自社実験)」、レンタルサイトでは「8〜12畳」と書かれているところもあります。業界基準で見るなら8畳です。木造の寝室で使うなら、6畳を上限と考えたほうが寒い思いをしません。
本体は13kgあり、平均表面温度は約80℃。キャスターで動かせますが、部屋から部屋へ持ち歩く機種ではありません。
山善 DP-SB1610:足元だけを一番安く
160Wのミニパネルヒーター。8時間使っても39.7円、1ヶ月で1,190円です。温度は無段階のダイヤルで、安全装置は温度ヒューズ。重さ約1.7kgで、トイレや机の下へ片手で運べます。
このシリーズは型番が何度も変わっています。DP-B167、DP-SB167、DP-B168、DP-SB1610は、販売店の仕様表ではいずれも160Wで、本体サイズもほぼ同じ(幅40.5×奥行15×高さ32.5cm)。型番が違っても電気代は変わりません。旧型番が安く出ていれば、それを選んでも電気代の面では損をしません。ただし重さはDP-B168が1.44kg、DP-SB1610が約1.7kgと販売店ごとに表記が分かれているので、気になる人は購入前に販売ページで確認してください。
電気ヒーターのおすすめを用途別に結論
- 総合で選ぶなら:アラジン AEH-G1000B。250W〜1000Wの4段階で、体だけを暖める使い方ができる。電気代を自分でコントロールしやすい1台
- 安く済ませるなら:山善 DP-SB1610。本体6千円台、電気代は月1,190円が上限。足元専用と割り切れる人向け
- 脱衣所・トイレなら:パナソニック DS-FN1200。温風ですぐ暖まり、転倒時の安全装置も強い
- 寝室を風なしで暖めたいなら:デロンギ RHJ21F0812。ただしエアコンとの併用前提で、単独で8畳以上を暖めようとしない
この条件の人は電気ヒーターを買わなくていい
- エアコンがある部屋で、部屋全体を暖めたい人:同じ暖かさなら電気代はエアコンの数倍。まずエアコンの設定と風向きを見直すほうが安い
- いまの電気ヒーターを「省エネモデル」に買い替えて電気代を下げたい人:同じW数で同じ時間使えば電気代は1円も変わらない。買い替えで下がるのは、W数を下げた場合だけ
- 布団の中だけ暖かければいい人:電気毛布は50W前後の機種が多く、ヒーターより一桁安い
電気ヒーターの電気代でよくある質問
電気ヒーターを1日つけっぱなしにしたら電気代はいくら?
1200Wを24時間「強」のまま動かすと、1.2kW×24時間×31円で約893円です。30日続けると約2万6,800円。500Wなら1日372円、160Wなら1日119円です。サーモスタットで止まる機種は、止まっている時間のぶんだけ下がります。
小型の電気ヒーターは電気代が安い?
安いのは、W数が小さいからです。小型でも1200Wの機種は1時間37.2円かかります。小型の400W機なら1時間12.4円ですが、出せる熱も1200W機の3分の1です。「小型=省エネ」ではなく「小型=暖める範囲が狭い」と読み替えてください。
パナソニックやニトリの電気ヒーターは電気代が安い?
メーカーで電気代は変わりません。パナソニックDS-FN1200の「強」は1170W(50Hz)なので1時間約36.3円、ニトリでも他社でも1200Wの機種なら1時間37.2円です。比べるべきは本体の仕様表に書かれた消費電力の数字だけです。
電気ヒーターの値段の差は何で決まる?
電気代の差ではなく、熱の届け方と安全装置と付加機能の差です。人感センサー、加湿、ナノイーなどの空気清浄機能、首振り、タイマー、転倒OFFの方式で価格が上がります。熱を作る効率は5千円の機種も3万円の機種も同じです。
予算5,000〜7,000円なら何が買える?
この価格帯なら、160W前後のミニパネルヒーターか、600〜1200Wの小型セラミックファンヒーターが選べます。足元専用ならパネル、脱衣所やトイレならセラミックファン。部屋全体を暖める機種はこの予算では買えないと考えてください。
重さ・サイズはどれくらい?
今回の4機種では、山善のパネルヒーターが約1.7kg、パナソニックのセラミックファンヒーターが2.5kg、アラジンのグラファイトヒーターが約3.0kg、デロンギのオイルヒーターが13kgです。部屋を移動しながら使うなら3kg以下、置きっぱなしならオイルヒーターでも問題ありません。
作動音は気になる?
ファンで温風を送るセラミックファンヒーターは、送風音が出ます。グラファイトヒーターは首振りのモーター音程度、オイルヒーターとパネルヒーターはファンがないので、寝室や勉強部屋で音を気にする人はこの2種類から選ぶのが無難です。
電気ヒーターをつけっぱなしで寝ても大丈夫?
燃焼しないので一酸化炭素は出ませんが、布団や洗濯物が近づくと火災の原因になります。寝る間に使うなら、表面温度が低めのオイルヒーターかパネルヒーターを、取扱説明書の離隔距離を守って置いてください。温風やグラファイトの機種は、切タイマーを使って寝入るまでに止めるのが安全です。
電気ヒーターに延長コードを使ってもいい?
1200Wの機種は約12Aを流します。延長コードや電源タップの定格(多くは15A・1500W)に余裕がないと、ほかの家電と合わせて上限を超え、コードが発熱します。取扱説明書で延長コードの使用を禁じている機種も多いので、壁のコンセントに直接挿すのが基本です。
この記事の検証方法と参照日
- 消費電力:パナソニックはメーカー公式の仕様ページ、アラジンはメーカー公式の取扱説明書と販売店の仕様表、デロンギ・山善は販売店の仕様表で確認(2026年10月13日時点)
- 電気代:全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込)で算出。基本料金・燃料費調整額・再エネ賦課金は含まない
- エアコンのCOP:パナソニックCS-F283Cの暖房能力3.5kW・消費電力870Wから算出した参考値
- 実機は使用していません。体感の暖かさ・作動音・耐久性は評価していません
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