7と8は家庭で使い切れません
光回線は1Gbps。MacとWindowsをつなぐHUBは2.5G。その間に、私はカテゴリ7のLANケーブルを挿していました。
理由は単純で、5eも6Aも7も、1本の値段がそんなに変わらなかったからです。どうせ買うなら上のほうが、ロスも少ないだろうと考えていました。買った時点でオーバースペックだとは自覚していました。わかっていなかったのは、どこまでが余裕で、どこからが無意味なのかです。
昔、大学生協でPCを売っていました。「高いほうが安心」と上位モデルを選ぶ人は、その頃からずっといます。LANケーブルでは、私がそちら側でした。
今回はサンワサプライの1mを3本(カテゴリ6A・7・8)選び、公式仕様と規格で突き合わせました。
この記事の検証方法:メーカー公式仕様の照合/販売ページの調査/規格の整理(3本とも実機は使用しておらず、通信速度の実測はしていません)
結論:LANケーブルは「相手の機器の最大速度」から逆算する
- 光1G回線と2.5Gまでの機器なら、必要なカテゴリは5e〜6です。10Gの機器を実際につなぐ人だけが6Aを選びます。
- 今回のカテゴリ7は、速度が6Aと同じ10Gbpsです。細くてやわらかいことが売りの商品で、性能が上位というわけではありません。
- カテゴリ8は40Gbps/25Gbpsに対応します。ただ、その速度のRJ45ポートを持つ家庭向け機器は見かけません。買っても使い切れません。
- 3本の参考価格は954円・1,020円・1,550円で、カテゴリ順には上がりません。「値段が変わらないなら上を買う」という選び方が罠になる理由です。
今回比べた3本(現在価格を確認する)
- カテゴリ6A STP 超ショートブーツ 1m(KB-T6ASB-01BL):楽天で現在価格を確認する|Amazonで価格を比較する
- カテゴリ7 スリム 1m(KB-SL7YS-01BL):楽天で現在価格を確認する|Amazonで価格を比較する
- カテゴリ8 メッシュフラット 1m(KB-T8MEFL-01BK):楽天で現在価格を確認する|Amazonで価格を比較する
LANケーブルのカテゴリが高いほど安心、が成り立たない理由

3本を並べると、数字の大きさと値段が噛み合いません。
| カテゴリ6A | カテゴリ7 | カテゴリ8 | |
|---|---|---|---|
| 公称の通信速度 | 10Gbps | 10Gbps | 40/25Gbps |
| 公称の伝送帯域 | 500MHz | 600MHz | 2000MHz |
| 参考価格(1m) | 1,550円 | 1,020円 | 954円 |
速度と帯域は上がっていくのに、価格は逆に下がっています。3本は形状もシールド構造も販売店も違うので、カテゴリだけで値段が決まっていないことだけは読み取れます。店によって価格が動くので、購入前に現在価格を確認してください。
帯域の数字にも注意が必要です。サンワサプライは、カテゴリ7の600MHzを「カテゴリ5eの6倍」と説明しています。つまり5eは100MHzです。1G回線は5eの範囲に収まります。2.5Gも同じです。2.5GBASE-Tは5e、5GBASE-Tは6のケーブルで、規格上どちらも100mまで動作するように作られています。2000MHzという数字は、家庭の1G〜2.5Gの環境では、どこにも効いてきません。

LANケーブルのカテゴリの選び方:相手の機器から逆算する4ステップ
- **つなぐ機器のLANポートの速度を見る。**ルーター、HUB、PCの仕様欄に「1000BASE-T」「2.5GBASE-T」「10GBASE-T」といった表記があります。
- **いちばん遅い機器が上限になる。**光回線が1Gなら、途中のHUBが10Gでも1Gしか出ません。
- **速度から必要なカテゴリを引く。**下の表のとおりです。
- **最後に長さ・形状・シールドを決める。**ここから先はカテゴリの話ではなく、置き場所の話です。
| 通信速度 | 規格 | 必要なカテゴリの目安 | 距離の上限 |
|---|---|---|---|
| 1Gbps | 1000BASE-T | 5e | 100m |
| 2.5Gbps | 2.5GBASE-T | 5e | 100m |
| 5Gbps | 5GBASE-T | 6 | 100m |
| 10Gbps | 10GBASE-T | 6A | 100m |
| 25/40Gbps | 25/40GBASE-T | 8 | 30m |
カテゴリ7を表に入れなかったのには理由があります。次の節で説明します。
カテゴリ6A・7・8の違いを1mで比較:サンワサプライ3本の型番と公称値
| カテゴリ6A STP | カテゴリ7 スリム | カテゴリ8 メッシュフラット | |
|---|---|---|---|
| 型番 | KB-T6ASB-01BL | KB-SL7YS-01BL | KB-T8MEFL-01BK |
| ASIN | B0C3L78N4V | B0D8SVYKRS | B08R5GS57S |
| 公称速度 | 10Gbps | 10Gbps | 40/25Gbps |
| 公称帯域 | 500MHz | 600MHz | 2000MHz |
| シールド | STP | ScTP | STP(4対) |
| 形状の売り | 奥行4.8mmの超ショートブーツ | 径4.5mmのやわらかスリム | 厚さ3.2mmのメッシュフラット |
| 参考価格 | 楽天1,550円(税込・送料別) | ケーズデンキWeb1,020円(税込) | ジョーシンWeb会員価格954円(税込) |
価格は2026年9月22日時点。すべてメーカー公式・販売ページの公称値で、私が測った数字ではありません。

カテゴリ6A STP 超ショートブーツ(KB-T6ASB-01BL):10Gの機器がある人だけ
10Gbps・500MHzのカテゴリ6Aです。ツイストペアをさらにシールドで覆うSTP構造で、サンワサプライはノイズが発生しやすい環境向けと位置づけています。ブーツの奥行が4.8mmしかなく、ケーブルを根元から曲げられます。機器の背面がぎっしり詰まったラックでは効く設計です。
判断は単純です。10Gのルーターやスイッチ、NASを実際に持っているなら、この規格が必要になります。持っていないなら、6Aである必要はありません。
カテゴリ7 スリム(KB-SL7YS-01BL):「7」の数字ほど、中身は上位ではない
公称値は10Gbps、帯域600MHz、径4.5mm。構造はScTPで、導体は32AWGのより線です。PoEには対応していません。
同じ「やわらかスリム」シリーズのカテゴリ6A(KB-SL6AYS)は、サンワサプライの製品ガイド(2024年7月)にUTP・28AWG・径4mm・500MHzとあります。AWGは数字が小さいほど導体が太いので、導体はむしろ6Aのほうが太い構造です。
規格側にも注意点があります。パンドウイットの技術資料によると、規格上のカテゴリ7はペアごとにシールドしたS/FTPケーブルのみで、コネクタもRJ45とは別形式(GG45やTERAなど)です。この商品はScTPでRJ45です。不良品という意味ではありません。「カテゴリ7に対応」と書かれた商品を、規格の定義どおりのカテゴリ7だと思って買うと、想像した構造とは違う、という意味です。
判断:速度は6Aと同じ10Gbpsです。買う理由は「細い」「やわらかい」の2つだけになります。10Gの機器がないなら、7を選ぶ根拠は見つかりませんでした。私が2.5G HUBに挿していたのは、このタイプの延長線上にある商品です。

カテゴリ8 メッシュフラット(KB-T8MEFL-01BK):40Gの相手が家にありません
公称値は40Gbps/25Gbps、帯域2000MHz。導体は30AWGのより線、ケーブルは3.2×9.0mmのフラット形状で、メッシュ素材を使っています。メーカーの説明では、メッシュ素材で引張強度200%とあります。私が確認したケーズデンキの販売ページには、何と比べた200%なのかの記載がありませんでした。
規格上のカテゴリ8は、25G/40GBASE-Tで30mまでです。家庭向けのルーターやHUB、PCで、この速度のRJ45ポートを持つ製品は見かけません。1Gの光回線につないでも1Gのままで、2.5Gの機器につないでも2.5Gのままです。
ただし1mで954円と、3本のなかでいちばん安く売られていました。オーバースペックの罠の入口は、まさにここです。速度が目的なら買う理由がありません。床やカーペットの下、家具のすき間に通したいという形状が目的なら、選ぶ理由になります。
LANケーブルはどのカテゴリを買えばいい?用途別の結論

総合で選ぶなら:相手の機器の最大速度に合わせます。光1G回線と2.5G HUBなら5e〜6で足ります(今回の3本には含めていません)。10Gの機器があるなら、カテゴリ6A STP(KB-T6ASB-01BL)です。
安く済ませるなら:1G〜2.5Gの環境では、5eか6のUTPで足ります。今回の3本のなかではカテゴリ8がいちばん安く見えますが、速度を目的にするなら買う理由がありません。
この条件の人は買わなくていい
- 光1G回線と、2.5Gまでの機器しか持っていない人は、カテゴリ7も8も6Aも要りません。
- 「念のため」で上位カテゴリを選ぼうとしている人。今回の3本で見る限り、念のための余裕は速度には効きません。効いたのは、ケーブルの細さ、曲げやすさ、フラットさといった形状でした。
- 10Gに替える予定がまだ決まっていない人。決まった時点で6Aを買っても、差額は千円台です。
3本をもう一度確認する場合はこちらです。
LANケーブルのカテゴリに関するよくある質問
LANケーブルの値段の差は何で決まる?
今回の1m3本の参考価格は954円〜1,550円で、カテゴリ順には並びませんでした。3本は形状(ブーツ・スリム・フラット)もシールド構造も販売店も違うため、カテゴリの数字だけでは値段が決まらないことが確認できます。
光回線1Gbpsに必要なLANケーブルのカテゴリは?
5eです。1000BASE-Tは5eの範囲で動作します。6以上を選んでも1Gのままです。
2.5G HUBにカテゴリ7のケーブルは必要?
必要ありません。2.5GBASE-Tは既存の5eケーブルで100mまで動作する規格です。5GBASE-Tからカテゴリ6を使います。
カテゴリ8のLANケーブルに替えると、光回線は速くなる?
なりません。通信速度は、回線・ルーター・HUB・PCのLANポートのうち、いちばん遅い部分で決まります。1G回線はカテゴリ8でも1Gのままです。
家庭でカテゴリ8が必要になる場面はある?
25G/40G対応の機器同士をつなぐときで、規格上の距離は30mまでです。家庭向けの機器でその速度のRJ45ポートを持つものは、私は見つけられていません。
STP(シールド付き)のLANケーブルは家庭で必要?
サンワサプライは、STPをノイズが発生しやすい環境向けと位置づけています。電源タップやモーター機器のすぐそばを通す配線でなければ、5eや6のUTPで足ります。
予算1,000円でどのカテゴリが買える?
今回の1m3本では、954円のカテゴリ8と、1,020円のカテゴリ7が近い価格帯です。ただし、カテゴリは値段ではなく機器の速度で選びます。1G〜2.5Gなら5e〜6、10Gが要るなら6Aです。
この記事の検証方法と参照日
参照日:2026年9月22日
検証方法:メーカー公式仕様の照合/販売ページの調査/規格の整理。3本とも実機は使用しておらず、通信速度の実測はしていません。
数字の区分
- 公称:サンワサプライの製品ページ・ニュースリリース・製品ガイド、ケーズデンキ・ジョーシンの商品ページに記載の値
- 規格:IEEE 802.3bzほか、下記の解説・技術資料に基づく整理
- 実測:なし
参照先
- サンワサプライ ニュースリリース「KB-T6ASBシリーズ」(2023年4月)、LANケーブル製品一覧(KB-T8MEFLシリーズの仕様)、製品ガイド2024年7月号(KB-SL7YS・KB-SL6AYS)
- ケーズデンキ・ジョーシンの商品ページ(KB-SL7YS-01BL・KB-T8MEFL-01BK)
- IEEE 802.3bz(2.5GBASE-T/5GBASE-T)の解説記事(Impress Watch、Wikipedia)
- パンドウイット技術資料「Category 7 and 7A Cabling Concerns」
- JEITA「LANケーブル・配線に関する規格の解説」
