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18L/日と10L/日。並べられたら、たいていの人は18Lを選びます。数字が倍近いのだから、冬の部屋干しも倍の速さで乾くはずだ、と。
ところが、その18Lは室温27℃・湿度60%という、梅雨か真夏の部屋で測った数字です。三菱電機は自社の18L/日機について、室温10℃では5.0L/日まで下がると公式に書いています。冬の脱衣所や北側の部屋で干すなら、カタログの一番大きい数字はほぼ当てになりません。
この記事では、メーカー公表値だけを使って「冬に本当に乾く衣類乾燥除湿機」を計算し直しました。
この記事の検証方法:メーカー公式仕様の照合/販売ページの横断調査/公表値からの計算(実機は使用していません)
結論:冬の衣類乾燥除湿機は「L/日」ではなく3つの数字で選ぶ
- L/日は室温27℃の値。コンプレッサー式の18L/日機(三菱MJ-P180ZX)は、室温10℃で5.0L/日、1℃では2.0L/日以下になる(メーカー公表)。
- 室温20℃で2kgを乾かす時間は、L/日が最大の機種が最も遅い。18L/日機が114分、10L/日のコロナが約87分。
- 比べるのは「2kgの衣類乾燥時間」「1回の電気代」「低温時にヒーターを使うか」の3つ。1回の電気代は約9.9円から約28.5円まで、3倍近く開く。
暖房の効いた部屋で毎日干すならパナソニック F-YEX120B(1回約9.9円)。暖房のない10℃前後の部屋で干すなら、10℃を下回るとヒーターを足すコロナ CD-H1026/BD-H1026。この2台で、ほとんどの家の冬の部屋干しは片付きます。
衣類乾燥除湿機の「除湿量L/日」は室温27℃で測った数字です

コンプレッサー式・ハイブリッド式の除湿量は、各社とも「室温27℃、相対湿度60%を保ったまま24時間運転したときの除湿量」で表示しています。三菱電機、コロナ、アイリスオーヤマ、シャープの仕様表には、この条件が注記で書かれています。
デシカント式は測る温度が違います。日立のデシカント式除湿機のカタログは、除湿能力を「室温20℃、相対湿度60%」で表示しています。同じ「L/日」という単位でも、コンプレッサー式とデシカント式は別の条件で測った数字なので、横に並べて大小を比べること自体が成り立ちません。
三菱の18L/日機は、室温10℃で5.0L/日まで下がる
低温時の数字を公表しているメーカーは多くありません。三菱電機はMJ-P180ZX(2026年5月発売)の公式ページで、次の値を出しています。
| 条件(60Hz) | 除湿量 | 27℃表示との比 |
|---|---|---|
| 室温27℃・湿度60%(カタログ表示) | 18L/日 | 100% |
| 室温10℃・湿度70%・冬モード | 5.0L/日 | 約28% |
| 室温10℃・湿度70%・強運転 | 4.5L/日 | 25% |
| 室温1℃・湿度70% | 2.0L/日以下 | 約11%以下 |
1時間あたりに直すと、27℃では0.75L取れるのに、10℃では約0.21L。カタログでは「18L」に見えていた機械が、冬の寒い部屋では5L級の除湿機として動いています。
原因は霜です。コンプレッサー式は、空気を冷却器で冷やして水滴を取り出します。室温が下がると冷却器に霜がつき、霜を溶かしている間は除湿が止まります。三菱は「おまかせ霜取り」と冬モードでこの停止時間を縮めていますが、それでも10℃で約28%です。霜取りの工夫がない機種で同じ数字が出る保証はありません。
惣菜売場で冷蔵・冷凍ケースを見ていた頃、霜取り運転の時間帯はケースの冷えが一時的に止まるのが当たり前でした。霜が育った冷却器は、冷やす力をそのまま失います。冷蔵ケースの冷却器も、除湿機の冷却器も、理屈は同じです。
2kgの衣類乾燥時間で比べると、18L/日の機種がいちばん遅い

除湿機メーカーは、L/日とは別に「2kgの洗濯物を乾かす時間」を公表しています。日本電機工業会の自主基準(JEMA-HD090)に沿った測定で、三菱電機の注記では条件が「和室6畳相当・室温20℃・相対湿度70%・洗濯物2kg」と書かれています。27℃より冬に近い条件です。
| 機種 | 方式 | L/日(27℃表示・60Hz) | 2kgの乾燥時間 | 1回の電気代 |
|---|---|---|---|---|
| パナソニック F-YHVX120(従来機) | ハイブリッド | 12.5L | 約75分 | 約27.4円(算出) |
| コロナ CD-H1026/BD-H1026 | コンプレッサー+ヒーター | 10.0L | 約87分 | 約28.5円 |
| パナソニック F-YEX120B | エコ・ハイブリッド | 12.5L | 90分 | 9.9円 |
| パナソニック F-YZX60B | デシカント | 5.6L(条件の注記なし) | 108分(速乾) | 26.1円 |
| 三菱電機 MJ-P180ZX | コンプレッサー | 18L | 約114分 | 約23.0円(算出) |
L/日の順位は18L→12.5L→10L→5.6Lなのに、乾燥時間の順位はほぼ逆さまです。18L/日の三菱が114分で最下位、10L/日のコロナが約87分。L/日が除湿機の「力」を表していると思って選ぶと、ここで裏切られます。
速い機種に共通するのは、温かい風を洗濯物に当てていることです。コロナの標準モードは300Wのヒーターで温風を出し、パナソニックの従来ハイブリッド F-YHVX120 はデシカント側のヒーターを使います。その代わり電気を食います。F-YHVX120の885Whに対し、ヒーターを使わない後継のF-YEX120Bは312Wh。15分遅くなるだけで、電気代は約2.8分の1です。

冬の部屋干し用に衣類乾燥除湿機を選ぶ計算手順
- 干す部屋の冬の室温を測る。朝と夜、洗濯物を干す時間帯に温度計を置いて確認します。暖房を入れる部屋か、入れない部屋かで答えが分かれます。
- 室温が10℃前後なら、コンプレッサー式のL/日は4分の1前後で見積もる。三菱MJ-P180ZXの公表値(10℃で25〜28%)から出した目安です。霜取り機能のない機種は、これより下がると考えておきます。
- 寒い部屋で使うなら「低温時にヒーターを使うか」を確認する。コロナHシリーズは室温10℃を下回るとヒーターを併用します。デシカント式はもともとヒーターで水分を取り出す方式なので、室温の影響を受けにくい構造です。
- 最後に「2kgの乾燥時間」と「1回の電気代」で比べる。どちらも仕様表か商品ページの注記にあります。毎日1回乾かすなら、1回の電気代×30が月の電気代です。
毎日1回乾かした場合、月の電気代はF-YEX120Bで約297円、MJ-P180ZXで約689円、コロナで約855円(いずれも上の表の1回あたりから算出)。冬の4か月で見ると、F-YEX120Bとコロナの差は2,000円を超えます。
衣類乾燥除湿機 冬向け5機種の比較表
| 機種 | 低温時の対策 | 使える室温 | 質量 | 運転音(衣類乾燥) | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| パナソニック F-YEX120B | 低温時の除湿量は非公表 | 非公表 | 13.0kg | 49dB | 暖房のある部屋で毎日干す |
| コロナ CD-H1026/BD-H1026 | 10℃未満でヒーター併用(冬モード) | 約5〜40℃ | 12.0kg | 未確認 | 暖房なしの部屋で干す・予算重視 |
| 三菱電機 MJ-P180ZX | 冬モード+自動霜取り | 1〜40℃ | 15.2kg | 47dB(標準) | 部屋全体の結露・湿気対策も兼ねる |
| パナソニック F-YZX60B | デシカント式(ヒーター方式) | 非公表 | 6.0kg | 48dB(速乾) | 2階・脱衣所へ持ち運ぶ |
| パナソニック F-YHVX120(参考) | ハイブリッド(ヒーター併用) | 非公表 | 13.9kg | 未確認 | 比較の基準として掲載 |
衣類乾燥除湿機の選び方 用途別の結論
暖房のある部屋で毎日干すなら:パナソニック F-YEX120B
2kgを90分、1回9.9円。今回の5機種で電気代が飛び抜けて安く、乾燥時間も上位3番目です。ただし低温時の除湿量は公表されていません。暖房を切った10℃の部屋で同じ90分が出るかは、数字で確かめられない機種です。リビングや暖房の効いた部屋に干す家向けと割り切ってください。パナソニックは取扱店を限定しているので、購入は正規の販売店から。
暖房なしの部屋(10℃前後)で干すなら:コロナ CD-H1026/BD-H1026
室温が10℃を下回るとヒーターを足して除湿する冬モードがあり、使える室温は約5℃から。2kgを約87分で乾かし、5機種で2番目に速い数字です。1回約28.5円と電気代は高めですが、寒い部屋で「乾かない」を避ける代金と考えれば筋が通ります。ヒーターを切って電気代を約40%に抑えるecoモードもあります。
型番は販路で分かれます。家電量販店向けがCD-H1026、ホームセンター等向けがBD-H1026。販売店に載っている除湿量・タンク容量・本体寸法は同じで、調査時点の掲載例ではCD-H1026がケーズデンキWebで50,380円、BD-H1026は3万円台でした。
安く済ませるなら:コロナ BD-H1026
寒い部屋に強い機種を、3万円台で買えるのはこれです。CD-H1026との違いを型番の頭2文字で確かめてから購入してください。
部屋全体の結露・湿気対策も兼ねるなら:三菱電機 MJ-P180ZX
衣類乾燥の速さだけなら5機種で最も遅い114分です。強みは別のところにあります。1℃から運転でき、低温時の除湿量を自分から公表し、ホースをつなげば連続排水もできる。北側の部屋の結露や、冬じゅう湿気がこもる部屋をまるごと除湿したい人の機械です。「18L」に冬の部屋干し速度を期待して買う機種ではありません。
2階や脱衣所へ持ち運ぶなら:パナソニック F-YZX60B
6.0kgで、ほかの4機種の半分以下の重さです。デシカント式なので室温の影響を受けにくく、2kgを速乾モード108分・26.1円で乾かします。標準モードなら1回22.1円ですが、時間は178分まで延びます。除湿量5.6L/日は数字だけ見ると見劣りしますが、測定条件の違う数字なので、ここで他機種と比べても意味がありません。
この条件の人は買わなくていい
- 乾燥機能付きの洗濯機や浴室乾燥機を、冬に毎日使えている人。
- 一人暮らしで洗濯物が少なく、暖房の効いた部屋に干してサーキュレーターで風を当てれば翌朝までに乾いている人。
- 冬は加湿器を回している部屋に干そうとしている人。除湿機と加湿器が湿気を取り合うだけです。
【内部リンク】加湿器の記事

衣類乾燥除湿機の冬のよくある質問
除湿機を1日つけっぱなしにしたら電気代はいくら?
消費電力×24時間×31円/kWhで出せます。60Hz地域の除湿運転で計算すると、F-YEX120B(強225W)が約167円、コロナCD-H1026(230W)が約171円、F-YZX60B(自動285W)が約212円、MJ-P180ZX(390W)が約290円。1か月つけっぱなしなら30倍で、約5,000〜8,700円です。湿度が下がると運転を弱める機種が多いので、これは上限の目安です。コロナは冬モードでヒーターを使うと、この計算より増えます。
冬はコンプレッサー式とハイブリッド式、どちらがいい?
暖房のない寒い部屋なら、ヒーターを使えるハイブリッド式かデシカント式、またはヒーター併用のコンプレッサー式(コロナHシリーズなど)です。ヒーターを持たないコンプレッサー式は、三菱の公表値で室温10℃のとき27℃の約4分の1まで除湿量が落ちます。暖房の効いた20℃前後の部屋なら、電気代の安いコンプレッサー式やエコ・ハイブリッド式で十分です。
衣類乾燥モードと除湿モード、どっちが早く乾く?
洗濯物を乾かすなら衣類乾燥モードです。電気を多く使う代わりに、風とヒーターを洗濯物に集中させます。パナソニックF-YZX60Bは除湿(自動)285Wに対して衣類乾燥(速乾)465W、コロナHシリーズは衣類乾燥の標準モードで300Wのヒーターを使います。
衣類乾燥除湿機の値段の差は何で決まる?
除湿方式と、風を送る範囲です。ヒーターとコンプレッサーを両方積むハイブリッド式は高くなります。送風幅も差が出る部分で、パナソニックはF-YEX120Bが約165cm、F-YZX60Bが約110cmと公表しています。L/日の大小は、冬の乾きやすさとは別の話です。
予算3万円台なら何が買える?
今回の5機種では、販売店で3万円台の掲載があったのはコロナ BD-H1026です。室温10℃未満でヒーターを併用する冬モード付きなので、寒い部屋に干す家でも候補に入ります。
重さはどれくらい?
コンプレッサー式・ハイブリッド式は12〜15kg台(コロナ12.0kg、F-YEX120B 13.0kg、MJ-P180ZX 15.2kg)。デシカント式のF-YZX60Bは6.0kgです。キャスター付きでも、階段を持って上がるなら6kgと15kgの差は大きく感じます。
運転音はうるさい?
衣類乾燥の標準的なモードで47〜49dB(MJ-P180ZX 47dB、F-YZX60B 48dB、F-YEX120B 49dB)。夜に寝室の近くで回すなら、音を抑えるモードの数字を確認してください。MJ-P180ZXの夜干しモードは38dB、F-YEX120Bの音ひかえめモードは42dB(60Hz)です。どちらも乾燥時間は延びます。
暖房をつけた部屋で干せば、L/日どおりに除湿できる?
27℃まで暖める家は少ないので、L/日どおりにはなりません。20℃前後の部屋なら、上の表の「2kgの乾燥時間」がそのまま目安になります。JEMAの測定条件が室温20℃だからです。
この記事の検証方法と参照日
- 参照日:2026年10月14日
- 公称値:三菱電機 MJ-P180ZX 公式仕様・特長ページ、パナソニック F-YEX120B・F-YZX60B 公式仕様ページ、パナソニック「除湿機の方式を解説」ページ(F-YHVX120の消費電力量・乾燥時間)、日立 HJS-D562カタログ(デシカント式の測定条件)
- 販売店掲載のメーカー表記:コロナ CD-H1026/BD-H1026(ケーズデンキ、生活堂、レンティオ)
- 算出:比率・1時間あたりの除湿量・1回と1か月の電気代はこちらの計算(電力単価31円/kWh)。メーカー公表値ではありません。
- 実機は使用していません。乾燥時間は各社の測定条件での値で、実際の時間は部屋の広さ・洗濯物の量・干し方で変わります。
最終結論:暖房のある部屋で干すならパナソニック F-YEX120B、暖房のない寒い部屋で干す・予算を抑えるならコロナ BD-H1026。
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