光1Gの回線で、Wi-Fi 7ルーターを「最大速度」で選んでいる人は損をしています。
表記を足すと17,981Mbpsになるルーターでも、光1Gの線に通せる中身は約949Mbpsで止まります(算出:1Gbpsの線で送れるデータの理論上の上限。メーカー公表値ではありません)。
見るところは3か所だけです。回線、ルーターの5GHz表記、手元のスマホ。この順に数字を当てはめれば、どこで速度が止まるかは自分で計算できます。
うちも光1Gです。2.5GのスイッチングHUBを入れ、LANケーブルもカテゴリ7でそろえていました。今の目で見れば、回線の太さに対して明らかなオーバースペックです。大学生協やパソコン売場でPC-9801やMacを売っていた頃から、カタログの最大値が家の速さとして出たことは一度もありません。カタログの数字は「一番速い条件で測った値」で、家で出る速さは一番細いところで決まります。
結論:光1G回線なら、5GHz帯で「2,882Mbps」以上と書かれたWi-Fi 7ルーターで回線の上限まで届きます。1万円前後のバッファロー WSR3600BE4Pで足ります。それより高い機種に払う差額は、インターネットを速くするお金ではなく、家の中のNAS・有線PCや10G回線への乗り換えのためのお金です。
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Wi-Fi 7ルーターを「最大速度」で選ぶと失敗する理由
箱に大きく書かれた最大速度は、複数の電波(周波数帯)の数字を足したものです。たとえばバッファローのWXR18000BE10Pは、6GHz帯11,529Mbps+5GHz帯5,764Mbps+2.4GHz帯688Mbpsで、合計が型番の「18000」に近い17,981Mbpsになります(公称)。
この数字は、ルーターと同じ構成の機器どうしで通信したときの理論値です。NECは自社のAterm 7200D8BEについて、規格値の合計7,140Mbpsに対し、実効スループットを5,280Mbpsと公表しています(公称・NEC公式サイトの表記、2026年10月時点)。メーカー自身の好条件の測定でも、規格値の約74%です。
どのWi-Fi 7ルーターも、光1Gの上限より太い
問題は、その数字がいくら大きくても、インターネットの出入口が光1Gの線1本だという点です。1万円台のWi-Fi 7ルーターでも、5GHz帯だけで光1Gの線より太い。だから「最大18,000Mbps」と「最大3,600Mbps」を比べても、光1Gの家ではネットの速さに差が出ません。差が出るのは、ルーターより手前(回線)と奥(スマホ)です。
光1G回線で速度が頭打ちになる場所|3ステップで計算

ステップ1:回線|光1Gの線で運べるのは約949Mbps
有線LANは、データを1回あたり最大1,500バイトの包みにして送ります。実際の線の上には、宛先や区切りの情報が足されて1,538バイト分の時間がかかります。そのうちWebページや動画の中身として運べるのは、TCP/IPの見出し40バイトを引いた1,460バイトです。
計算は1行で終わります。1,460÷1,538×1,000Mbps=約949Mbps(算出。メーカー公表値ではありません)。光1Gの家で、どんなルーターを使っても速度測定がこの数字を超えないのはこのためです。
949Mbpsは「線の上限」で、実際はプロバイダ側の混み具合で下がります。夜に遅くなる家の多くは、PPPoEという古い接続方式で、事業者側の混雑する設備を通っています。IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)に切り替えると、その混雑を避けやすくなります。ルーター選びで最初に確認するのは、最大速度ではなく、契約中のプロバイダの方式(v6プラス、transix、OCNバーチャルコネクト、クロスパスなど)に対応しているかです。バッファローのWSR3600BE4PとWSR6500BE6Pは、OCNバーチャルコネクト・v6プラス・IPv6オプション・transix・クロスパス・v6 コネクトの6方式への対応を仕様書に明記しています(公称)。
ステップ2:ルーター|5GHz「2,882Mbps」表記なら回線より太い
スマホ1台がつながるのは、基本的に5GHz帯か6GHz帯のどちらかです。見るのはこの「1本の電波の数字」です。5GHz帯2,882Mbpsという表記は、160MHz幅・2ストリームで通信したときの値です(公称・バッファロー仕様書)。
無線の実効速度は、表記の6割前後が一般的な目安とされ、先ほどのNECの公表値では約74%でした。この幅で計算すると、2,882Mbps×0.6〜0.74=約1,729〜2,133Mbps(算出)。光1Gの上限949Mbpsの2倍前後あります。5GHz帯で2,882Mbps以上と書かれていれば、ルーターがボトルネックになることはありません。
注意点がひとつあります。日本の5GHz帯で160MHz幅を取れるのは、36〜64chか100〜128chのまとまりで、どちらも気象レーダーを避けるための監視(DFS)が必要なチャンネルを含みます。近くでレーダー波を検知すると、ルーターはチャンネルを移したり幅を狭めたりします。空港や気象レーダーに近い地域で速度が急に半分程度に落ちる場合は、ルーターの性能ではなくこの仕組みが原因です。
ステップ3:スマホ|iPhone 15・15 Plusは約720〜888Mbpsで止まる
最後の関門は、手元の端末です。Appleが公開しているiPhoneのWi-Fi仕様(2026年10月時点)では、iPhone 16・16 Pro・17・Airは5GHz帯・6GHz帯とも最大160MHz幅、最大2,400Mbpsです。Wi-Fi 7の目玉とされる320MHz幅には対応していません。
同じ仕様表で、iPhone 15と15 Plusは5GHz帯で最大80MHz幅・1,200Mbpsです。1,200Mbps×0.6〜0.74=約720〜888Mbps(算出)。光1Gの949Mbpsより先に、スマホが頭打ちになります。この2機種がメインの家では、ルーターをWi-Fi 7に替えても、スマホでのネットの速さの上限は変わりません。
| 端末 | 5GHz帯の上限(公称・Apple) | 実効の目安(算出) | 光1Gで先に止まる場所 |
|---|---|---|---|
| iPhone 16/16 Pro/17/Air | 2,400Mbps(160MHz) | 約1,440〜1,776Mbps | 回線(約949Mbps) |
| iPhone 15 Pro/15 Pro Max | 2,400Mbps(160MHz) | 約1,440〜1,776Mbps | 回線(約949Mbps) |
| iPhone 15/15 Plus | 1,200Mbps(80MHz) | 約720〜888Mbps | スマホ |
Androidスマホは、Wi-Fiの接続先の詳細画面に「リンク速度」が表示される機種が多く、そこに出る数字がステップ3の上限です。リンク速度が1,200Mbps前後なら、その端末が先に止まります。
Wi-Fi 7ルーター5機種比較表|光1Gでの頭打ち・ポート・価格帯
| 機種(型番) | 5GHz帯(公称) | 6GHz帯(公称) | WAN端子 | LAN端子 | 光1Gでの上限(算出) | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| バッファロー WSR3600BE4P | 2,882Mbps | なし | 1Gbps | 1Gbps×3 | 回線の約949Mbps | 1万円前後(発表時想定11,980円) |
| TP-Link Archer BE6500 | 5,765Mbps | なし | 2.5Gbps | 2.5Gbps×1+1Gbps×3 | 回線の約949Mbps | 2万円前後(発表時想定18,480円) |
| バッファロー WSR6500BE6P | 5,764Mbps | なし | 2.5Gbps | 1Gbps×3 | 回線の約949Mbps | 1万円台後半(2026年のセール実績17,080円) |
| NEC Aterm 7200D8BE(PA-7200D8BE) | 5,764Mbps | なし | 10Gbps | 2.5Gbps×1+1Gbps×3 | 回線の約949Mbps | 2万円台後半(Amazon同等品の発売時27,478円) |
| バッファロー WXR9300BE6P | 2,882Mbps | 5,764Mbps(320MHz) | 10Gbps | 1Gbps×4 | 回線の約949Mbps | 3万円台(発表時想定34,980円) |
「光1Gでの上限」の列は、5機種すべて同じです。価格が3倍違っても、光1Gの家でインターネットに出る速さの上限は変わりません。差が出るのは、表の右側の端子(WAN・LAN)と6GHz帯の有無で、これはどれも「光1Gの外側」で効く項目です。
同じ機種でも型番の末尾が違う|販路別型番の見分け方
Wi-Fiルーターは販路ごとに型番の末尾が変わります。購入前に、商品名の末尾に書かれた型番を確認してください。
- WSR3600BE4P:通常版は-BK・-WH。/N(Amazon専用モデル)、/C・/D(特定販売店向け)がありますが、公式仕様書上の速度(2,882+688Mbps)と端子(WAN 1Gbps・LAN 1Gbps×3)は同じです
- Archer BE6500:Amazon専売で先に出た「Archer BE400」と同等の仕様と、TP-Linkの発表時に報じられています
- Aterm 7200D8BE:一般販売の型番はPA-7200D8BE。Amazonでは同等製品が「AM-7200D8BE」の型番で売られています
- WXR9300BE6P:Amazon専用モデルは「WXR9300BE6P/N」です
バッファロー WSR3600BE4P|光1Gの家はこれで上限に届く
5GHz帯2,882Mbps(160MHz・2ストリーム)で、ステップ2の計算どおり光1Gの上限を超えます。WAN・LANとも1Gbpsですが、回線が1Gなのでここで損はしません。IPv6 IPoEの主要6方式に対応し、本体は約280g・43×148×133mmで壁掛けもできます(公称)。光1Gの家で「ネットを速くしたい」が目的なら、この1台で目的は果たせます。
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TP-Link Archer BE6500|家の中の2.5G機器まで速くしたい人向け
この価格帯で、2.5GbpsのLAN端子を1つ持っているのが強みです。2.5G対応のNASやデスクトップPCを有線でつなぐと、家の中どうしのファイルコピーは光1Gの制限を受けません。インターネットの速さはWSR3600BE4Pと同じ上限です。v6プラス、transix、OCNバーチャルコネクトなどIPoE各方式への対応も発表されています。
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バッファロー WSR6500BE6P|2.5Gは「入口だけ」
WAN端子は2.5Gbpsですが、LAN端子は1Gbps×3です(公称・バッファロー仕様書)。2.5G回線を引いても、有線でつないだPCは1Gbpsで止まります。光1Gの家では、5GHz帯5,764Mbpsの余力もネットの速さには出ません。4ストリームの5GHz帯で、2×2のスマホ2台に同時に送れる点は混雑する家で効きますが、光1Gの家族用なら差額を払う理由は薄い機種です。
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NEC Aterm 7200D8BE|10G回線への乗り換えが決まっている人向け
WAN端子10Gbps、LAN端子に2.5Gbpsを1つ。NECは有線の実効スループットを約2,350Mbps(ローカルルータ時)と公表しています(公称・NEC公式サイト)。光1Gのままなら、この余力は使いません。2〜3年以内に10G回線へ移る予定がはっきりしていて、ルーターを買い直したくない人のための選択です。
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バッファロー WXR9300BE6P|光1Gのために買うと6GHzが余る
6GHz帯で320MHz幅・5,764Mbpsに対応したトライバンド機です(公称)。ただしiPhone 16・17・Airの6GHz帯は160MHz幅が上限で(Apple公開仕様)、320MHz幅の数字は今のiPhoneでは使えません。6GHz帯は電波が混み合いにくい利点がありますが、光1Gの回線の上限は949Mbpsのまま。マンションで周囲のWi-Fiが多く、5GHz帯が混んで遅い家なら検討の余地があります。
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光1G回線のWi-Fi 7ルーターはどれを買うか|用途別の結論
総合で選ぶなら:バッファロー WSR3600BE4P
光1Gの上限949Mbpsに対し、5GHz帯の実効目安は約1,729〜2,133Mbps(算出)。回線を使い切るのに必要な性能を、5機種で最も安い価格帯で満たしています。安く済ませたい人の答えも同じこの機種です。
NAS・2.5G対応PCがあるなら:TP-Link Archer BE6500
家の中のコピーやバックアップを速くしたい人は、2.5GbpsのLAN端子がある機種を選びます。WAN側だけ2.5GのWSR6500BE6Pでは、この目的は果たせません。
10G回線への乗り換えが決まっているなら:NEC Aterm 7200D8BE
WAN 10Gbpsで、回線を替えたあともルーターを使い続けられます。乗り換えの予定が「いつか」なら、今はWSR3600BE4Pで十分です。
この条件の人は買わなくていい
- 家族のスマホがiPhone 15・15 Plus以前のモデル中心の人:スマホ側の上限(約720〜888Mbps・算出)が先に来るので、ルーターを替えてもスマホでのネットの速さは上がりません
- 今のWi-Fi 6ルーターが5GHz帯で2,401Mbps(160MHz)表記で、IPv6 IPoEで接続できている人:2,401Mbps×0.6=約1,441Mbps(算出)で、すでに光1Gの上限を超えています。光1Gのままなら買い替えで速度は変わりません
- 夜だけ遅い人:原因はルーターではなく、PPPoE接続の混雑である場合が多いです。先にプロバイダのIPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)が使えているかを確認してください
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Wi-Fi 7ルーターのよくある質問
Wi-Fi 7とWi-Fi 6はどっちが速い?
ルーターと端末の間の無線だけを比べれば、Wi-Fi 7のほうが速い数字を出せます。ただし光1G回線のインターネットでは、上限は回線側の約949Mbps(算出)です。5GHz帯で160MHz幅に対応したWi-Fi 6ルーター(2,401Mbps表記)と最新のiPhoneの組み合わせなら、どちらでもこの上限に届きます。速さの差が出るのは、10G回線や家の中どうしの通信です。
Wi-Fi 7の欠点・デメリットは?
カタログの最大速度の多くが、今の端末では使えない点です。6GHz帯の320MHz幅は、iPhone 16・17・Airでは160MHzまでしか使えません(Apple公開仕様)。6GHz帯は壁を通ると弱まりやすく、離れた部屋まで届きにくい性質もあります。光1Gの家では、最大速度に払った差額が速さとして返ってこない。これが一番大きな欠点です。
Wi-Fi 7と有線LANはどっちが速い?
光1G回線のインターネットなら、どちらも上限は約949Mbps(算出)で同じです。有線は速度のぶれと遅延が小さいので、オンラインゲームやビデオ会議に使うPCは有線が向いています。無線の実効は、電波の状態で表記の6割前後まで下がるのが一般的です。
値段の差は何で決まるのか?
主に3つです。端子の速さ(1G/2.5G/10G)、6GHz帯の有無(トライバンドかどうか)、5GHz帯のストリーム数(2本か4本か)。比較した5機種では、1Gbps端子・2ストリームのWSR3600BE4Pが最安帯、10Gbps端子と6GHz帯を持つWXR9300BE6Pが最高価格帯でした。どれも光1Gのネットの上限は変えない項目です。
1万円の予算なら何が買える?
バッファロー WSR3600BE4Pが候補です。発表時の想定価格は11,980円で、2026年2月のAmazonのセールでは9,880円で売られた実績があります。2026年8月に価格改定があったため、購入前に現在価格を確認してください。光1Gの上限を使い切るには、この価格帯で足ります。
重さ・サイズはどれくらい?
WSR3600BE4Pは本体約280g、幅43×高さ148×奥行133mmで、壁掛けにも対応しています(公称・バッファロー仕様書)。ONUや光電話ルーターの横に縦置きしても場所を取りません。ほかの機種は外付けアンテナの有無で設置スペースが変わるので、置き場所の奥行きを測ってから選んでください。
古いスマホはWi-Fi 7ルーターにつながる?
つながります。Wi-Fi 7ルーターは、Wi-Fi 6(11ax)・Wi-Fi 5(11ac)など従来の規格でも通信できます。WXR9300BE6PやAterm 7200D8BEの仕様にも、11ax・11ac・11nなどの対応が明記されています(公称)。速度は端末側の上限で決まり、たとえばiPhone 15なら5GHz帯の上限は1,200Mbps(Apple公開仕様)です。
6GHz帯は必要?
光1Gの家で、ネットを速くする目的なら不要です。6GHz帯が役立つのは、周囲のWi-Fiが多いマンションで5GHz帯が混雑している場合や、10G回線の速度を無線で引き出したい場合です。6GHz帯に対応した端末を持っていなければ、つなぐこともできません。
屋外や庭でも使える?
今回比較したバッファロー機は、仕様書に「屋内使用に限る」と明記されています。5GHz帯のW52・W53と6GHz帯は、電波法で屋外での使用が禁止されています(法令で許可された場合を除く)。庭やガレージまで電波を届けたい場合は、屋外対応の中継機やアクセスポイントを別に用意します。
この記事の検証方法と参照日
この記事の検証方法:メーカー公式仕様の照合/販売ページの横断調査/単位換算による計算(実機は使用していません)。参照日:2026年10月28日。
- 実測:なし
- 公称:バッファロー公式仕様書(WSR3600BE4P各型番・WSR6500BE6P各型番・WXR9300BE6P/N)、NEC Aterm 7200D8BE公式製品ページ、Apple「iPhoneのWi-Fi仕様」(Appleプラットフォーム導入ガイド)、TP-Link Archer BE6500・バッファロー各機の発表時報道(INTERNET Watch)
- 算出:光1Gの実効上限(1,460÷1,538×1,000Mbps)、無線の実効目安(表記×0.6〜0.74。0.74はNECの公表値5,280÷7,140から算出)。いずれもメーカー公表値ではありません



